銃社会について考えてみる

昔、アメリカに留学することが決まった頃に、周囲の複数の大人からアメリカが銃社会であることを心配されました。
銃社会で暮らすなんて危険なんじゃないのか、大丈夫なのかと私の身の安全を懸念する声が多かったことを覚えています。
私自身、実際にアメリカで20年以上暮らしてみて、周囲の心配は杞憂だったなと思ってきました。
確かに、ニュースでは頻繁に殺人事件のニュースが流れるし、
ギャング抗争や発砲事件、カーチェイスの話も聞きます。
時には花火なのかな、銃声だったりするのかな、といった音が聞こえてくることもありますが
基本的にはある程度の危機意識を持って暮らしていれば、早々物騒なことにはならないというのが実感です。

危機意識と言っても。。。
夜道を一人で歩かない、とか、治安の良くない場所には近づかない、とか
割と常識的な範囲です。
後は、アジア人として悪目立ちしそうな場所も極力避けるようにしています。
最近なんて特に物騒ですからね。
アジア人というだけで、Hate Crimeの対象にもなり得る社会環境になってしまったのがとても残念です。

そして長年のアメリカ生活を送ってきて、ずっと感じてきた疑問。
”日常生活に銃って必要なのか?”
”なんで銃を規制できないんだろう”
きっと銃刀法取締法がある国で育った私は、多くのアメリカ人の感覚とは違うんでしょうね。。。

おそらく日本でも大きく取り上げられているニュースではないかと思いますが
昨日、テキサスの小学校で子供も含む20名ほどの犠牲者がでた発砲事件が起こったそうです。
子供を持つ親としては、学校に送り出した我が子に不幸が起こるなんて考えたくもない事件です。

銃規制を反対する人からは、
モラルを逸脱するような事件を起こす人なんて、ごく限られたケースでしかない。
銃の所有者はきちんとモラルを持って管理、使用をしている。
銃を持つのは市民の権利だ。
といった意見が出るようです。
確かに、発砲事件がニュースで大きく取り上げられる理由は
そんな事件が珍しいから、ですよね。
でもね、日常茶飯事とは言わなくても、やっぱり定期的に銃をまつわる事件が起こっているのは真実なんです。
今回のような発砲事件もあれば、暴発や誤発射で命を落とす子供たちの事故だってニュースで聞きますよね。
私は銃は規制されるべき、と考えているので、
こういった事件や事故のニュースを聞くたびに”なぜ規制できないの?”と残念に思わずにはいられません。

数年前に、青少年のメンタルヘルスについてのセミナーを受講する機会がありました。
そのセミナーでのメイントピックの一つが自殺をどのように防ぐか、でした。
セミナーの主催者の方が言われた言葉を今でも強烈に覚えています。
”自殺を未然に防ぐ有益な方法は、武器へのアクセスを遮断すること。”
精神的に追い込まれた状態にあって、銃が手に取れる場所にあった場合は
自殺へのハードルが格段に下がってしまうと言うのです。
衝動的な自殺願望にかられた上で銃を手にしてしまうと、あっという間に引き金を引いてしまう。
そして、銃を使った場合はほぼ確実に命を絶つことができてしまう。
と、説明が続きました。
つまり、突発的に自殺願望に襲われたとしても、実際に行動に移す術がない場合は
一旦クールダウンする時間が取れる。
そして考え直すことも可能性としては十分あるということです。

これは自殺だけに限られたことではないと思うんですよね。
今回の発砲事件だって、武器へのアクセスがあったからこそ起こってしまった事件。
簡単に銃を入手できるような環境が無ければ、銃で人命がおびやかされる事件はぐっと減ると思うのです。
そして、百歩譲って銃規制反対派の意見を尊重するとしても、
銃を所持するのであれば、子供の手が届かないような場所に厳重保管することは
必要最低限のモラルだと思います。
購入者、所有者の記録を管理すること、そして購入者のバックグラウンドチェックは入念に行ってもらいたいものです。

今回の事件を受けて、バイデン大統領に銃の規制に関する働きかけを行う姿勢がみられるようです。
大切な家族、友人、知人が銃に脅かされるようなことのない社会に変わっていけばいいな、と思います。

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